キャプテンの資質か、それに似たものを感じたことがあった。

この夏、甲子園大会で春夏通じて初の日本一になった履正社(大阪)の新主将には関本勇輔捕手(2年)が就任した。春夏の甲子園を背番号12で経験した。

履正社の新主将・関本勇輔

取材を通じて関本はチームメートを客観視できる性格だと感じた。まだ大会期間中の8月中旬、岩崎峻典投手(2年)について「普段はどんなタイプの子なのか」という質問をした時のことだ。「きちょうめんなところがあります。試合前には道具を磨いています。昨日の練習後には部屋でグラブやスパイクを磨いてました。クリームを付けてブラシで磨いて、タオルで拭いてました」。ごく一般的な手順だが、一連の動作をしっかりと覚えていた。

もう1つある。大会中、ナインの宿舎の食事はバイキング形式。栄養バランスを考えて取るようにお達しがされていた。関本は「まんべんなく取るように言われているのですが、(岩崎は)その中でもちゃんと野菜を取っていてバランスを考えています」と答えた。周囲の行動をよく見て、その行動の意味も考える冷静な一面があると思った。

秋季大阪大会1回戦の八尾北戦で2ランを放つ履正社の関本勇輔主将(2019年9月7日撮影)

キャプテンになるのは、小1で始まった野球人生で初の経験。履正社では例年、新キャプテンは割とスムーズに決まってきたというが、今回は例年よりも長く5日ほどかけ、岡田龍生監督(58)らが3年生の意見なども参考にして熟考した。判断の決め手は、自分のプレーが良かろうが悪かろうが全体の仕事が出来るか-だった。岡田監督は「自分のプレーも役職もちゃんとできる」と関本に託した。

関本本人も大役に就く覚悟はあったという。「センバツでメンバー入りして、引っ張っていく立場というのが分かっていた」。取材時、相手の目を見て丁寧に返答する落ち着いた姿は、前主将の野口海音(3年)にどことなく似ている。「1人も違う方向を向かないようにしたい。ベンチに入った人、入れなかった人がいる。入れなくて落ち込んだ人(の背中)を押してあげられるようになりたい」。手探りの中で挙げた理想のキャプテン像は、視野の広い関本らしかった。

新チームは始動したばかり。関本主将率いる履正社が次はどんな顔を見せてくれるだろうか。【望月千草】

(2019年9月11日、ニッカンスポーツ・コム掲載)