母が栄養学び、食事を管理

姉すみれさん(24)の影響で、4歳から「石田卓球クラブ」で卓球を始め、ひたむきに努力を重ねてきた。「世界で勝つために」と、コーチから左シェークハンドを勧められ、中学時代から国際大会を経験してきた。

現在は年間の3分の1が海外遠征。康恵さんは5年ほど前から栄養学を学び、アプリをつかった食事管理で早田の食育をサポートしてきた。「海外に行ったときは、食べたものを必ず写真で記録させるようにしています」と徹底管理。約5年間分の食事写真がスマホのフォルダにしっかりと保管されている。

卓球TリーグファイナルでMVPに輝いた日本生命・早田ひなは表彰式でVサイン(撮影・玅見朱実、2019年3月17日)
卓球TリーグファイナルでMVPに輝いた日本生命・早田ひなは表彰式でVサイン(撮影・玅見朱実、2019年3月17日)

「中国では『油っこいチャーハンばかり食べているな』とか『野菜が足りてないな』とか見てチェックすることができます。食事を把握することは体作りの基本ですし、勝つために大切なことですからね」と続けた。

鶏肉はむね肉、ささみのみ

大学で本格的な栄養学を学んだすみれさんの助言も参考にしている。「肉と魚、張り切って両方のおかずを作ったら『作りすぎ』とダメだしされてしまいました。鶏肉を使うときはむね肉、ささみのみ。唐揚げはやめて、蒸し鶏にするようになりました」。

卓球世界選手権代表合宿でダブルスの練習をする早田(左)と伊藤(撮影・丹羽敏通、2019年4月13日)
卓球世界選手権代表合宿でダブルスの練習をする早田(左)と伊藤(撮影・丹羽敏通、2019年4月13日)

早田は現在身長167センチ。中学時代から身長に恵まれていながらも、筋力不足でケガが多かった。家庭内では母と姉が一体となって食事を完全サポート。専門家がトレーニングを改善し、ケガも減っていった。

今年2月のワールドツアー・ポルトガルオープンでは元世界ランク1位の劉詩文(中国)を破る大金星を挙げて優勝し、代表入りへアピール。今回の世界選手権では康恵さんもハンガリーに帯同し、洗濯面など細かい生活雑務をサポートしている。世界の大舞台で母の献身的な支えが、波に乗る早田を一層飛躍させてくれそうだ。【樫本ゆき】