帝京大は、スポーツ医科学に関する研究の推進とアスリートの支援体制強化のため、東京・八王子キャンパス内に「スポーツ医科学センター」をこのほど開設した。地上5階、地下1階、延べ床面積約1万平方メートルの施設には、トレーニングルームをはじめ、プール、各種物理療法機器、8人が1度に入れる高気圧酸素治療室などのリカバリー施設を備え、選手が必要とするサポートを1個所に集約した。

10月に開設した帝京大のスポーツ医科学センター

「メディカル」「フィジカル」「サイエンス」「テクノロジー」の各分野の専門スタッフ38人が連携、クリニックには医師が常駐する。現在は、全国大学選手権9連覇中のラグビー部、箱根駅伝常連の駅伝競争部、全国大会上位のチアリーディング部、首都大学リーグの硬式野球部(一部利用)を強化指定部として全面的にバックアップ。食事面も管理栄養士7人で、競技ごとの栄養指導を行っている。

医科学センター内に置かれている注意書き

完全予約制、競技別にエネルギー設定

同センターの食堂は、完全予約制。席数250の開放的なスペースで、競技別にエネルギー量が設定され、計算された栄養素が摂れるメニューになっている。駅伝競走部の献立をベースに、チアリーディング部(主菜・ご飯量などを減らして調整)、ラグビー部(主菜・ご飯量などを増やして調整)の献立へと展開している。

この日の駅伝競技部用の昼食

給食会社と連携してラグビー部の献立を作るのは、管理栄養士で公認スポーツ栄養士の藤井瑞恵さん(40)。藤井さんは、岡本奈緒子さん(30)とともにラグビー部を担当しており、多忙を極める。午前中から、選手が夕食を食べ終わる午後10時過ぎまで交代で管理するからだ。

この日のラグビー部BK用の夕食

食堂は定食方式だが、自分に必要なものが何か、選手が少しでも考えて食べるように、藤井さんはサラダバーや常備菜の選び方など細かく指導する。基本的に残食はNG。食べている状況にまで目を配る。

食堂には各部の推奨エネルギー量や栄養素がサイネージで表示されている

部員150人を管理、必要な食事量確保

ラグビー部全150人は、同センターまで徒歩10分ほどの場所で寮生活を送る。以前から食事は栄養管理されていたが、この施設ができてから食べる場所やスタイルが少しずつ変わってきた。

メニュー1つ1つに栄養価が細かく表示されている

それまでは、一般の学生食堂で朝食を食べ、昼食はコンビニで調達したり、学生食堂や近隣の食堂などで食べており、十分な食事量を確保できないこともあった。この施設ができてからは、競技に見合ったエネルギー量や栄養素量が確保でき、食事場所を探すストレスも減ったようだ。

医科学センター内の食堂は開放的な空間

また、食堂にはサンドイッチ、おにぎり、ゼリー飲料などの補食に適したものが入った自動販売機を2台設置。足りなくなったら都度補充し、選手がいつでも食べられるようにしている。

補食に適した食品が詰められた自動販売機

それでも「やはり、目が届かないところもある。食欲に任せて食べるのではなく、考えて食べることができる選手になってもらうために、いつもどうするかを考え、チームでも検討している」と藤井さん。食意識が高い選手やレギュラー陣30人に対しては、より高いレベルの個別指導も行うが、「全体としての基準が下がるといけないので、常にボトムアップを考えています」と話した。

ラグビー部を担当する管理栄養士・藤井瑞恵さん(左)とアスレティックトレーナーの加藤基さん

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