<アスリートの摂食障害(8)>

スポーツ大国アメリカでも、女性アスリートの摂食障害が増え続けている。アメリカスポーツ医学会は1993年に女性アスリートの三主徴「摂食障害」「無月経」「骨粗しょう症」を発表したが、07年には一部改訂。「運動性無月経」「骨粗しょう症」、摂食障害予備軍の「Low energy availability(利用可能エネルギー不足=以下LEA)」に変更した。

学生アスリートの無理なダイエットに対し、全米大学体育協会(NCAA)も警鐘を鳴らしており、女性アスリートの三主徴への理解を大学やチームのコーチらに求め、摂食障害の予防と対策への取り組みを促している。

競技をする上で、独自の規約を設けている大学もある。インディアナ州ウエストラファイエットにあるアメリカンフットボールの強豪パデュー大もその1つ。以下のようなガイドラインを設け、学生アスリートの心と体の健康を守っている。

パデュー大のマッケイアリーナ
パデュー大のマッケイアリーナ

パデュー大の主なガイドライン
摂食障害のリスクが特に高い競泳、陸上(中長距離、クロスカントリー)、ダイビング、レスリング、バレーボール、チアリーディングのチームに属する学生は、栄養と心理学の教育を受けることができる。

コーチやトレーナー向けの摂食障害に関するセミナーを実施する。

体重と体形の目標を設定し、定期的に測定する。

摂食障害の疑いのある学生に対して、専門家の診断や治療を受けさせる。 「神経性やせ症」「神経性過食症」「過食性障害」「特定不能の摂食障害」を摂食障害の定義として位置づけ、診断の結果、競技を継続させるか否かの判断を下す。 重度の摂食障害と診断された場合は治療に専念させるため競技への参加を禁止し、軽度の学生に対しては食事療法などの治療を受けさせながら競技を続けさせる。

日本の大学スポーツも、参考にすべきところが多いにありそうだ。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】