<カンガルー肉ってどんな肉?(1)>

 アスリートにいい肉って何でしょう? 鶏肉、豚肉、牛肉…とそれぞれ特長がありますが、より高タンパク低脂肪を追求するなら、カンガルー肉はいかがでしょうか。アスリートの間でも口コミで広がり、男子プロバスケットボールのBリーグ横浜ビー・コルセアーズの選手たちも補食などで取り入れています。カンガルー肉ってどんな肉?の第1回は、オーストラリアから輸入し、「ルーミート」のブランドで販売するバセルの長友隼人エリック常務(34)に、話を聞きました。

「ルーミート」を片手にカンガルー肉の特長を語るバセルの長友専務
「ルーミート」を片手にカンガルー肉の特長を語るバセルの長友専務

 カンガルーが生息するオーストラリアでも、食べるようになったのは2000年以降。1980年代に生活習慣病に効果があるなどと学会で発表されたものの、当時は大半の地域で小売販売禁止だったため、最初は一部レストランで限定的に食べられる程度だった。今は大手スーパーで販売されている。

野生を捕獲、天然の赤身肉

 カンガルー肉は、鶏豚牛のような飼育肉でなく、すべて野生のもの。捕獲量は厳密に頭数が制限されており、供給量は多くない。「現地でもオーガニックビーフあたりと同じ位置づけで、価格は安くないんですが、意識の高いアスリートやセレブが積極的に食べているようです」(長友常務)。

 天然の赤身肉で、部位に関係なく脂肪含有率が1~2%と低脂肪、低カロリー。また、脂肪を分解、燃焼させ、蓄積を抑える共役リノール酸の含有率が他の食肉よりも極めて高く、食べるだけで脂肪を燃焼、筋肉増強に役立つという。良質なタンパク質に加え、ヘム鉄も豊富と、まさにアスリートに必要な栄養素が詰まっている肉だと言える。

 バセルはこれらをチルドで空輸し、国内で加工・冷凍。今はネットでのみ販売している。売れ筋は、そのまま食べられるジャーキー。「ヒレやランプも人気なんですが、実は自宅で調理するには、処理に手間がかかるのが難点なんです」と長友常務は明かす。

 食べる前に解凍、血抜きに半日以上かかる。しかも、1個500グラムのパックしかないため、1人暮らしの選手にとっては量も多い。

手軽に食べられる新商品開発中

 選手たちから「もっと簡単に食べられるものが欲しい」との要望を受け、昨年から商品開発を進めている。一度はソーセージやハムなどの加工品にトライしたが、「どうしてもつなぎの部分で余計な成分が入り、栄養価が下がってしまった」(長友常務)とやり直し。再チャレンジ中の現在は、レトルト製品や、解凍してすぐに食べられる冷凍食品を開発中だという。

 栄養価と品質にこだわった新商品は、早ければ夏に完成する。長友常務は「たくさんの人というより、必要としている人に届けたい。ぜひ、アスリートには食べて欲しいと」と力を込めた。

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