<鈴木弘子インタビュー(2)>

 女子のプロアメリカンフットボール選手でパシフィック・ウォリアーズの共同オーナーでもある鈴木弘子(51)は、体に1番良くないのは超空腹と超満腹の状態で、朝食はとても重要だと話した。

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超空腹と超満腹はダメ

 朝食で必要なのは、タンパク質ではなくて炭水化物。炭水化物は、いわばガソリン。ガソリンを入れないと体が動かないので、普段は朝起きたらすぐ食べる。

 「炭水化物」といってもさまざまで、砂糖も炭水化物。空腹時に砂糖を摂取すると、一気に血糖値が上がり、それを繰り返すことで血管が弱くなることもある。砂糖よりは白米、白米よりは玄米と言われるけど、その違いは繊維質。砂糖と一緒に繊維質を取ると吸収が遅くなり、血糖値も安定する。だから、朝食ではブロッコリーやニンジンなど食物繊維の多い野菜を取るようにしている。

仲間と笑顔を見せる鈴木(右から2人目)
仲間と笑顔を見せる鈴木(右から2人目)

 米国の朝食は本当に良くできていると思う。炭水化物(パンやパンケーキ、オートミールなど)に油、卵やハムでタンパク質もとれる。日本食も昔ながらの朝食、ご飯にみそ汁、サケなどの魚を食べるのならば良いけど、サラダとパンでは栄養が足りない。

 また、「油はダメ」と言われているけど、体に良いと言うデータもあり、米国では朝食に油を取るよう言われる。動物性でなく、ナッツやオリーブオイル、ココナツオイルなど上質なもの。アーモンドやナッツ類を食べるだけでも良いとされている。米国人はあまりカロリーの話をしない。カロリーは体内で変わるからあまり重要ではないとされていて、油を取らない選手はケガをしやすい気がする。

小さい頃からの食習慣が重要

激しくプレーする鈴木
激しくプレーする鈴木

 長く現役を続ける秘訣(ひけつ)は、100%食事だと思っている。食事と疲労回復がキー。実際に自分で体感してきたから、栄養の重要性が良く分かる。

 次の世代を担う若い選手には、早くから栄養の大切さに気づいて欲しい。朝食を食べること、濃い味には気をつけること、できるだけ天然で、保存料のないものを食べること。外食よりは家庭での手料理。フランス料理よりは和食。でも和食だとタンパク質が足りないので、そこは補うように努力して欲しい。

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 鈴木は、特に小さい時からの食習慣が大切だと熱を込めた。「甘いものや、カップラーメンとか食べて育つことは本当にダメだと思う。特に子供にとっては、濃い味はおいしく、それに慣れてしまうから」。

 超空腹、超満腹を作らない。必要なタイミングで必要な栄養素を取る。朝食を必ず食べ、炭水化物、食物繊維を欠かさない。1日でも長く現役を続けるために、鈴木は自分で決めたルーティンを今日も続けている。【千歳香奈子】

米国で流行、プロテインパスタ

 米国では、今、プロテインパスタ(プロテイン入りのパスタ)が流行。スーパーで手軽に買えるので、鈴木も活用している。また、甘い物を食べたい時は、プロテイン入りのチョコバーやチップスなどを食べるという。「どうしても甘い物やチップスが食べたくなったときは、これらが便利。プロテインパスタは味も変わらないし、まずくないですよ。炭水化物+タンパク質がとれて、野菜やチキンを合わせるとバランスも良くなる」と鈴木は、時と場合によっては、栄養補助食品も利用している。